FC2ブログ
スポンサーサイト
-------- -- --:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
別窓 | スポンサー広告 | top↑
(牙狼SS)チョコレート・ベルガモット
2012-06-16 Sat 23:05




牙狼の中でも異色のオープニングだった makaisenki 第8話「妖刀」

私も 感想 で絶賛しちゃいましたよ。

思わず 満点!! ってさけんじゃったくらい。




read more から 零くんと鋼牙のバトル話。
短いです。 












(牙狼SS)チョコレート・ベルガモット






冴島家のリビングに零が訪れることは珍しい。


もちろん、未だ古からの風習、魔戒騎士が管轄を越えるのは御法度、という考え方も根強く残ってはいるが
零に限っては 風習だの 掟だのに縛られる男ではない。


彼が滅多に冴島家を訪れないのは、ひとえにオブジェの浄化とゲートの破壊に忙しい事と、
ポートシティのスイーツ完全制覇、という訳のわからない使命に燃えているからだ。



滅多に訪れることのない零が 来る時。



それは、先の魔戒大戦で証明された通り それ相当の何かーーーーーがある時で。



冴島家のリビングで零を迎えた鋼牙は
難しい顔を崩さず、じっと零が口を開くのを待っている。



「あのさ」



鋼牙の戸惑いを知ってか知らずか、零はふんわりと掴み所のない笑顔を浮かべて切り出した。



「俺、カオルちゃんのこと 好きになっちゃったんだよね。だからー」



「……」



「カオルちゃんを賭けて戦わない? 俺たちー」



『なんだ零、平和ボケか? 最近まともにホラーが出現しないから、腕が鈍(なま)って仕方ないんだろう、だからって鋼牙に八つ当たりとは頂けないな」



鋼牙の左手でザルバが呆れたようにカチカチと嗤った。



「うーん…… それはちょっと違うよ、ザルバ」



零は涼しい顔で しゃあしゃあと答えた。



「俺ね、ずっと狙ってたんだよね。 鋼牙の大切なもの。でも、破滅の刻印を押された時はそれどころじゃなかったし、その後すぐ鋼牙は約束の地へと旅立っちゃったし…… だけど今なら、良さそうじゃん? なぁ鋼牙――」



零は鋼牙、と呼びかけると まっすぐに目を見つめた。


その瞳の奥に燃え盛る炎を見て、鋼牙は軽い溜息をつく。



「どうしても、俺と剣を交えたいらしいな」



「流石は鋼牙、話が早くて助かるよ」 



「だが――」



鋼牙は 一転、厳しい顔で零を睨む。



「カオルを巻きこむな」



その絶対零度の威圧感に 知らず知らずのうちにゾクリと鳥肌が立った零だったが
それを一切、表に出すことなく
零は飄然と言い募った。



「だって鋼牙、カオルちゃんを出しにしないと本気にならないじゃん」



「……チョコレート・ベルガモット……」



「はぁぁ?」



唐突に鋼牙が呟いた 聞きなれない言葉に
思わず零は素っ頓狂な声をあげた。



「勝負は手加減なしだ。 勝った方が、……チョコレート・ベルガモットを手にする。それでどうだ?」



『チョコレート・ベルガモットか! そりゃいい。名案だ』



ザルバまで愉快そうに声をあげて嗤う。



「だから、なんなんだよ、その チョコレートなんたらって」



すっかり 置いてきぼりを喰らった零が その飄々とした仮面をかなぐり捨てて
鼻息荒く詰め寄った。


一方の鋼牙は無表情を崩さず――


「後でカオルが持ってくるそうだ。恐らく喰い物の一種だろう。『手に入れた』と言っていたから
カオルが作ったものではないことは保証する。それを賭けて、真剣勝負でどうだ」



「嫌だね。だってお前、それ喰いたくないんだろ。だからワザと負けて 俺にそれを喰わせる気だろう」




どうだ、図星だろう、と言わんばかりに零がふんぞり返った。



『零~、カオルはそれを ”お口にアーンしてあげるからね”と言っていたぞ。鋼牙が自分の眼前でみすみすそれをお前に許すと思うか?』



『ゼーロ、もういい加減 その辺で手を打ちなさいよ。だいたいあなた、鋼牙のお下がりの小娘なんてこれっぽっちも興味ないくせに』



「そ・そんな事もないよ? カオルちゃんは可愛いし 素直だし すぐムキになるし 恋愛に不器用そうでなんかこう、応援してあげたくなるし……」



『そうね、ゼロはいつも あいつらまだ結婚しないのかよって言ってるものね』



零の左手で柔らかく微笑んだシルヴァに零は思わず しまった、という顔をし
鋼牙は不機嫌そうに


「余計なお世話だ」


と 呟いた。





それから二人の男は互いの顔を見てひとつ頷くと庭に出て 対峙する。



ルールは魔戒騎士が己のプライドに懸けて闘う神聖な儀式、サバックにのっとって鎧の召喚を禁じ、互いの魔導具も今は離れたテーブルの上だ。
ただ一つ サバックと違うのは、魔戒剣の使用は許され
鋼牙の手には赤鞘から抜いた両刃の直刀、
零の手には二振りの剣が握られている。


一度互いの剣を頭上で交差させ、
今 まさに二人の真剣勝負が始まろうとした時、突如



「まて」




と鋼牙が零を制した。




「なんだよ、鋼牙。 この期に及んで待ったは無しだぜ?」




「いや…… その刀はどうした?」




「あ、これ? 気付いちゃった?」




零は 左手に握っている脇差を眼前に翳すと、慈しむような眼差しでじっと見つめた。  




「決着つけたくなったんだよね、鋼牙と俺、どっちが強いかなって……」



―― 猪狩重蔵、



零は脇差の向こうの幻影に静かに問いかける。
見ててくれよ、俺、あんたに指摘されてからさ、けっこういい”返し”ができるようになったんだぜ……




それから 再び剣を構えると




「さ、」



と 鋼牙に向けて顎をしゃくった。



「さっさと始めようぜ、こんなトコ、カオルちゃんに見つかったら一大事だ」



「違いない」




二人は再び剣を頭上で交わすと
そのまま凄まじい気合いと共に斬りかかった。



重い――



以前鋼牙を敵と信じ 膨れ上がる憎悪に任せ渾身の力で殺しに行った頃よりも
遥かに重く、そして鋭い鋼牙の剣。
長身から降り降ろす凄まじい剣先を 零は二振りの刀で必死に受け止めながらも
じりじりと後退を余儀なくされた。
息を吸う事もままならない。
ほんの少しでも力を緩めれば そのまま剣ごと刎ね飛ばされてしまいそうだ。



零が東の管轄で幾多のホラーと戦い 確実に腕を磨いていた間に
鋼牙もまた約束の地で死闘を繰り広げていたのだ。




強い――



全身から噴き出る汗もそのままに 零はニヤリと笑った。



「やっぱ 楽しいよ、あんたと剣を交えるのってさ」



鋼牙はスィと目を細めると
いきなり打ちこんだ剣を引きながらクルリと身を回転させ
つられて前進した零の鳩尾に強烈な回し蹴りを打ちこんだ。



「うっ」



息がつまり 眼前が霞む。
クラリとした瞬間 鋼牙の身体が突然その場から消えた。

次の瞬間 視界の影から零の顔を目掛けて鋭い拳が突き出される。

零はとっさに身体を捻ると 恐るべき反射神経でその拳を避けた。
拳は空を切り、鋼牙の胴が一瞬 隙を見せる。



「そこか!」



零の持つ脇差が 鋼牙の胴目掛けて一直線に突き出された。

けれど零の動きを予測していたかのように鋼牙は身体ごと零に押し付けピタリと接近すると
再び至近距離で拳を突き出して来た。

完全に零の二刀流を封じられている。

間合いを広げなければ……



「クッ!!!」



鋼牙を押し返し 零が後ろに飛び下がろうとした瞬間
ガクリと膝が落ちた。

赤鞘が 膝の頂点を確実に突いたのだ。

振り下ろされる鋼牙の拳がスローモーションのように視界の中を移動し
打たれる、と零が構えた瞬間、


鋼牙の拳は 零の鼻先 数センチの所でピタリと止まった。




「時間切れだ、零」



「なんでだよ、これからじゃねえかよ、決着はまだついてないぜ!?」



真っ赤になってまくしたてる零の背後から ヒョイと顔を覗かせるカオル。



「零く~ん、 久しぶりだねー。元気だった~?」




「はぁぁぁぁ~っ」



零は深々と溜息をついた。
鋼牙の言う通りだ。
この状況ではこれ以上続ける訳にはいかない。



零はどっかりと冴島家の庭に胡坐をかいて座りこんだ。




「おい、鋼牙、お前が途中で試合放棄したんだ。ってことは賭けに勝ったのは俺ってことで文句はねえよな?」




「え~? 賭け? 賭けって何の賭け~?」



カオルがニコニコしながら 座りこむ零の顔を覗き込んだ。




「チョコレート・なんちゃら」



零がカオルを見上げてニコっと笑う。




「あ、鋼牙から聞いたの? そうなの。昨日ね、久しぶりにポートシティの画廊に用事があって行って来たんだよ。それでその帰りに 今 話題のデカダンス ドュ ショコラに寄って
チョコレート・ベルガモットを買って来ちゃった♪ これ、すっごく人気ですぐ売り切れちゃうんだよね。はい!零くんにもお裾分け!」



カオルがニコニコしながら 鞄の中から宝石箱の様な包みを取り出した。




「うわ! まぢまぢまぢ~!? デカダンス ドュ ショコラ、 俺 行きたかったんだよね!
あそこさ、ガラスの窓越しにパテシエの作ってる姿が見れてさ、」




「そうそう! なんでもフランスの古い作り方を忠実に再現しながらもそれに囚われない新しい味なんだってね」




「うわ! このチョコ、いい香りだね」




「うん。柑橘系のベルガモットから抽出された香りが リフレッシュに効果的なんだって」




「さっすが! カオルちゃん 良く知ってるね、はい、あーーーーーんっ」



チョコレート談義に花を咲かせていたと思ったら突然零は
まるで 親鳥にエサを強請る雛よろしく、目を瞑りながら大きな口をあけた。



「ん~、はいっ! どう? 美味しい?」



なんの躊躇いもなく カオルも零の口にポイっと放りこんでやる。




「ん~ おひしい~♪」



モグモグと咀嚼しながら 零は目をあけると 勝ち誇った顔で鋼牙を見遣った。


もちろん鋼牙は 眉間に深々と皺を寄せたまま
恐ろしく不機嫌極まりない顔で二人を睨みつけている。



「鋼牙ー、 鋼牙の分もあるよ。 はい、あーん♪」



チョコを摘んだカオルがニコニコと鋼牙の口元にチョコレートを差し出した。




「いらんっ! 俺は甘いものは好かないっ」



プイっとソッポを向く鋼牙の視界の隅で 次の瞬間 信じられない事態が起きた。



「カオルちゃん 鋼牙は好きじゃないんだってさー。せっかくカオルちゃんが苦労してゲットしてくれたのにね。
仕方ないから俺が食べてあげるよ。はい! アーン」



零は事もあろうか チョコレートを摘んだカオルの手首を掴むと 指ごと口の中にパクリと入れ
それから 溶けてカオルの指についたチョコレートまで丁寧に舐め取った。



「カオルちゃん いただきっ!」




「零っ 貴様ーっ」



赤鞘を投げ捨てた鋼牙が 魔戒剣を手に一直線に斬りかかってくる。




「おおっと 続き、やっちゃう?」




零はニヤリと笑うと 地面を蹴って二本の刀で鋼牙の直刀をガチンと受け止めた。
火花が散り 固い金属の音が空気を揺るがす。



「あぁあ~っ! ちょっと待って!! 久しぶりに鋼牙と零くん描きたーい!!」



カオルが鞄の中からごそごそとスケッチブックを取り出し
少し離れた芝生の上に座りこむと こちらも一心不乱にスケッチを始め、
庭のテーブルでは ゴンザがお茶の支度を始めた。



「本日は カオル様ご持参のチョコレート・ベルガモットに合わせて
最高級のダージリンをお淹れ致しましょう」 







つづく













スポンサーサイト
別窓 | 脳内妄想二次小説 | コメント:4 | top↑
<<6月15&16日の拍手コメント返信 | もうひとつの夜~GARO~ | 6月13&14日のの拍手コメント返信>>
猪狩重蔵、最高のゲストキャラでした
こんばんは、hitoriさま
今回は、鋼牙と零くんの久々の真剣勝負ですね。(チョコレート・ベルガモットを賭けてというところが、甘いもの好きの零くんを引き付けるに充分)勝負に猪狩重蔵の形見の脇差を使うのが、何ともいえません。実を言うと、本編の「MAKAISENKI」でも、「妖刀」であれほど、素晴らしい死闘を繰り広げ、破れた侍に託された刀だから、あのあと、クライマックスのギャノンとの死闘とか、大事な場面で使って欲しかったなあ、と少し残念でした。そうすれば、破れた重蔵も喜んだと思います。カオルちゃんに、甘いチョコをお口にあ~んされて、(ああ、零くんのにやけた顔と、鋼牙の怒りの顔が目に浮かぶようです)切れた鋼牙と第二ラウンド。それをキャンバスに写し取るカオルさん。平和なんだか、すさまじいのか、今日も鋼牙邸はにぎやかなのですね。
2012-06-17 Sun 01:06 | URL | シュール #-[ 内容変更] | top↑
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2012-06-17 Sun 03:49 | | #[ 内容変更] | top↑
Re: 猪狩重蔵、最高のゲストキャラでした
にぎやかに 凄まじいのが冴島家っぽいですよね。

まあ ぶっちゃけ 零くんは鋼牙と戦えれば 代償なんてなんでも良かったんですよ。
でも鋼牙を引きずりだす理由として 「カオルちゃん ちょーだい」って。
じゃなきゃ 鋼牙が真剣にならないから。

結局 カオルちゃんの指を舐めて勝ち誇った零に まんまと乗った鋼牙と零の凄まじいバトルは
私の筆力がなくて書ききれませんでしたが
まー いつか相手がホラーでも 零くんが脇差を使って戦う話はリベンジしたいです。

妖刀は 素敵な回でしたが 脇差があのまま埋もれちゃったのがねぇ(>_<)

これで 新作映画で 脇差話が回収されたら本当に神なんだけど
100分しかないんですって。 尺的に無理だ……(T_T)
2012-06-18 Mon 10:09 | URL | hitori #-[ 内容変更] | top↑
06/17 03:49の鍵コメ様
> こういう日常も良いです良いです!
> いたずらに笑う零くんと
> 指舐められてきょとんとしてるカオルちゃんと
> 爪楊枝何本刺さるのよってぐらいに
> 眉間に皺が寄っちゃった鋼牙の表情が
> 目に浮かびますw


零は確信犯で かなり勝ち誇った顔をしていると思いますwww

カオルは キョトンで


鋼牙は ねえ…… 鎧を召喚しそうwww



え!? その後の鋼牙くんですか?
まさかの


> ザルバや零くんと間接キス・・・鋼牙がんばれ!



ですか!? wwwww
2012-06-18 Mon 10:11 | URL | hitori #-[ 内容変更] | top↑
 
 
 
 
 
 
  管理者だけに閲覧
 

| もうひとつの夜~GARO~ |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。