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(牙狼SS)マリヴの誘惑9
2012-06-30 Sat 23:25



ほらね。やっぱりね。やらかすと思った……







終わらない(爆)







read more から 幻の完結編




 
 
 


***(牙狼SS)マリヴの誘惑9***









悪酔いした。

何がいけなかったのかと言えば
およそ好みではない 甘ったるい酒を散々飲んだ挙句に 零の遁逃に気付き 怒りにまかせて猛然と走ったのがいけなかった事は明白だ。



しかし こんな悪酔いは、思いつく限りの記憶を遡っても皆無だ。



大方吐いてスッキリとした筈なのに
まだ胸のあたりに甘ったるい味が粘ついているようでムカムカする。


注意力散漫なのも
普段より視野が狭まっているのも
足取りが不確かなのも自覚している。
全て自覚はしているが どうしようもない。

どうしようもない、と開き直っている時点で 自分はかなり酔っているのだと認識できた。
まんまと零に嵌められた。
だが まともに取り合って勝負を受けたのは自分の責任だ。

鋼牙は波の様に襲ってくる酩酊感を振り払うように
ハっと短く息を吐き出し頭を振った。




―― 零の奴…… 八つ裂きにしてくれる




胸の内に 物騒な言葉が思い浮かび
知らず知らずのうちにニヤリと片頬に嘲笑が浮かぶ。




『鋼牙、随分ご機嫌だな』



「ああ…… そうかもしれない」





左手を持ち上げてそう答えた鋼牙の目は相当据わっていて。



そんなに遊んでほしけりゃ遊んでやる。
たまにはこちらから 仕掛けてやるのも悪くない




赤鞘の重みが心地よい。




今更改めて言うまでもなく、鋼牙にとって涼邑零は 他の魔戒騎士たちとは一線を画していた。




零は歳は若いが腕は確かな魔戒騎士だ。
出会った時の凄まじいまでの憎悪に塗れた目も、今は懐かしい。
あれ程 己への憎しみを露わにしていた男が今ではどうだ。
数多の戦いを通して、閑岱の魔戒騎士、山刀翼と共に 己が背を預けられるかけがえのない盟友となった零は
フラリと北の屋敷に現れると 無駄に真剣勝負を仕掛けてきたり
カオルちゃん 一緒にデートしよ、と わざわざ眼前で誘って挑発したり
大抵 陸(ろく)なことをしない。



それは鋼牙が元老院付きとなり名実ともに魔戒騎士の最高位となった今も全く変わることなく――



もともと狎れ合いを好まず、ストイックなまでに己を律する孤高の騎士 冴島鋼牙は
冷徹で感情を持たないホラー狩りの機械、との噂が先行していたが
先の大戦で更にその伝説的戦いぶりが彼への尊敬と畏怖の念を押し上げ
今では誰もが彼と対峙すると委縮する。


魔戒騎士と魔戒法師の諍い、或いは騎士同士の諍いを 一睨みで鎮め、
破滅の刻印から全ての魔戒騎士を救った英雄。
烈火炎装した魔導馬を イデアの核に向けて牙狼剣もろともぶん投げた荒技を放ち
前人未到の約束の地から生還した男――

それに本来の無愛想で気難しそうな外見と相まれば
相手に委縮するなと言う方が難しいだろう。


尤も鋼牙にしてみれば、自分は何ひとつ以前と変わったつもりもなく、焼き轟天の何処が悪い、位の気持ちなのだが。



その点 零はいい。
言いたい放題言い、やりたい放題やって引っかき回す零に嘘はない。
だから鋼牙も零には己の心の赴くままに遠慮なく曝け出せる、という訳だ。





ポートホテルのロビーに入ると 夜も更けた時間だと言うのに
ここだけはまるで不夜城のように赤々と灯が点り
大勢の多国籍な人々でロビーはごった返していた。



残念ながら手元に今夜の宿泊券はない。



それでも鋼牙はツカツカとロビーを横切って フロントへとまっすぐ進んだ。 
正面突破、それが 冴島鋼牙が冴島鋼牙たる所以。




「御月カオルが泊まっている部屋はどこだ」



眼光鋭く 開口一番訪ねるこの男に 通常なら「お答え致しかねます」というのがフロントのセオリーだろうか、
けれど フロント嬢は落ち着いた物腰で



「お客様のお名前を頂戴できますでしょうか」



と、上品な営業スマイルと共に問い返して来た。



「冴島、鋼牙――」



「冴島鋼牙様でいらっしゃいますね、承っております。あちらのエレベーターをお乗りになって
32階までお上がりください。お部屋は 3202号となっております」




零の手回しに抜かりはない。







鋼牙はスイと目を細めた。

無言で目礼をすると 踵を返しエレベーターに乗り込む。



5階 10階 15階 20階……


高速で移動するエレベーター内で 鋼牙はじっと目を瞑って逡巡していた。




あっさりと部屋へ通すヤツの目的はなんだ。
おそらく カオルを篭絡し 何事か企んでいるに違いない。



カオルは屋敷に帰ってからゆっくりお仕置きしてやるとして……と、だいたいカオルにお仕置きとか考えている時点で俺は酔っている――


鋼牙は眉をしかめて頭を振った。


冷静になれ。相手はあの零だ、一筋縄では行くまい。




やがてエレベーターは32階で停まり 静かに扉は開いた。




広いエレベーターホールに向かい合う 3201号と3202号のみのフロア。贅沢な作りはさすがに高級老舗ホテルのスイートルームだ。

鋼牙は赤鞘を取り出し 油断なく眼前に構えると3202号室のドアノブに手をかけた。
どうぞお入りくださいと言わんばかりに扉にチェーンが挟められ鍵がかからないようになっている。



いくら零がついているとは言え 不用心にも程がある――



鋼牙は不機嫌に扉を押し開けた。




「……」


『ん?おかしいな…… カオルの気配が……』


「ああ、全くない」


これには意表を突かれた。
しばし呆然と部屋の入り口で佇む。
部屋の灯は落とされているが 真っ暗ではない。
全開になったカーテンの向こうに 見る者の心を奪う宝石を散りばめたような美しい夜景が広がり
鋼牙はそれをチラリと一瞥すると ふん、と満足気に鼻を鳴らした。



かつて命を懸けて守って来た輝きだ。



そして今は零が守っている。



零の仕事に不足はない。完璧だ。



だが 今はその零が仕掛けの相手だ。鋼牙は油断なく グルリと部屋を見渡した。人の気配はここではない。―― 隣か……





ズカズカと大股でベッドルームへと足を踏み入れる。



こちらは灯一つなく 大きなベッドがひとつ、それに少し離れてシングルサイズのベッドがひとつ、
どうやら人の気配はそちらのシングルサイズのベッドからだった。


布団から覗く髪の長い……女――?


鋼牙はゆっくりと近づき そして 抑揚のない声で言い放った。





「ゴンザ、こんな所で何をしている?」




途端に布団を跳ね除け ストレートロングの髪の毛のゴンザが平身低頭した。




「こここ鋼牙さま~~~~~~ 申し訳ありませんっ!!」




ユラリと空間が揺らめき 壁と同化するように気配を殺して身を潜めていた黒いコートの男がその姿を現した。




「おっかしいなぁ、鋼牙、思ったより 酔ってないじゃん」



「零…… お前 よっぽど命が惜しくないと見える」




鋼牙は赤鞘から スラリと魔戒剣を引き抜くと まっすぐに零の喉元に突き付けた。




「カオルを何処へやった」



「…… 俺はお前に そしてお前とゴンザは当のカオルちゃんに まんまと騙された。最初っからカオルちゃんはここには居ねえよ」




「こここ鋼牙様~~~~~」




泣きそうなゴンザから事の顛末を聞いた鋼牙はそこで初めて



「私、お土産話を楽しみに帰りを待っているから」



というカオルの言葉の真の意味を知る。
ゴンザとふたり水いらずに過ごす豪華ホテルの一夜の土産話、だったのか――



鋼牙は深々と溜息をつきながら赤鞘を収めた。



「あれ?鋼牙 カオルちゃんと一戦交える代わりに 俺とやんねーの?」



零が挑発する。



「なんだか 気が削がれた…… つまらん、寝る」



そして魔法衣を脱ぎ捨て、着の身着のままドサリと クイーンサイズのベッドに寝転ぶと
布団を被った。



「ちょっ ちょっと待ってよ、鋼牙」



零がニヤニヤしながら ゴンザから無理やりカツラを奪うと
適当に頭に乗せて鋼牙の横に滑りこむ。



「せめて今夜は添い寝してやるから 俺をカオルだと思って抱きしめていいぜ~」




途端にむくりと跳ね起き、脱ぎ捨てた魔法衣から魔戒剣をスラリと引き抜くと



「やはり貴様だけは八つ裂きにしてくれる」



と地を這う様な低い声で後は容赦なく斬りかかった。




「鋼牙様っ 零様っ 備品を壊してはなりませぬー どうか周りに細心の注意を払って……」



いくら広々としたスイートルームだからと言って大の男が暴れるには限界がある。ゴンザが悲鳴をあげる一方で
ザルバが楽しげにカチカチと喚いた。



『なんだ、結局俺様が言った通り 零とどんちゃん騒ぎの一晩を送るのか』







************






おまけ話へ ~つづく~




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2012-07-01 Sun 10:37 | | #[ 内容変更] | top↑
6月の大量更新、全力疾走、おめでとうございます!ありがとうございます!!との思いをこめて拍手ポチしたらあらびっくり!再びのありがとうございます!!そしてマリヴ完結おめでとうございます。ザルバが叫んだ意味深な「今夜鋼牙がカオルにお仕置きを……」が気になって仕方ありません。再びゲロリンする鋼牙がそれでもかっこ良くて仕方ないのはhitori様の素晴らしい筆力の成せる業です。
2012-07-01 Sun 11:46 | URL | モブ騎士 #Q8SYUW.A[ 内容変更] | top↑
07/01 10:37の鍵コメ様
脱・魔法使い いつ来るのぉぉぉぉ~~~~~!!!


アップして頂いたら 毎日拝みに参ります。
R18だおるが R21だろうが どんと来い!



某絵茶← hitori、こーゆー事に疎くて 最初はなんの事かな~と 思っていたのですが
やっとわかりましたよ!!

これもタグのマジックで 昨日まで気付きませんでした。
もう あの方は神。
まぢで神です。



> 自重しない方向性で大丈夫でしたら、



自重? なんのことでしょう。
自重なんてしちゃダメ。wwwww
メーターMAXで 振り切ってください!!



> さて今回、焼き轟天がツボにハマりましたwww(何故ソコ)
> じっと息を殺して話の動向を見守っていましたが、
> これ、カオルへのお仕置もあるんですね?(笑)


第二期は レジェンド オブ 鋼牙だと我らが敬愛する監督様がおっしゃってました。そして伝説と言えば
やはり 焼き轟天でしょう(そこ!)


お仕置きwww ええ。 もう隠すつもりもございません。
只今 絶賛 執筆中。
近日中にアップします。

2012-07-02 Mon 09:05 | URL | hitori #-[ 内容変更] | top↑
モブ騎士様
ありがとうございます! 

振り返らずに走りました
この6月を駆け抜けて行きました
激情の なぁ~かぁ~でぇ~~~♪ ?www


無事 「完」 の字が打てたのは
皆さまの叱咤激励のお陰です。

モブ騎士様にはほぼ毎日 温かいコメントをありがとうございました。


「今日も 頑張りましたね」


の ひとことがとっても嬉しかったです。
毎日続けてのアップは 正直体力的にキツイ事もありましたが
後半の一番しんどかった時に


「完結したら 少し休んでいいから ここまで来たら1行でも2行でもいいから頑張ろう!」


というメッセージが有難かったな~~~~。


筆力は ないんですよ~、まぢで。
ほら、何回見直しても 誤字脱字を指摘されちゃうし。
でも筆力がない分 他の事でカバーできたかな。
来春、映画が公開されるまで ここで隙間を妄想しながら牙狼愛を呟き続けていたいです。


お仕置き…… うちの鋼牙さんは する、と決めたら やり遂げる男です(爆)
2012-07-02 Mon 09:15 | URL | hitori #-[ 内容変更] | top↑
ああ、荒れ狂う鋼牙さん
こんばんは、hitoriさま。ついに「マリヴの誘惑」完結しました。さてどうなることかと、かなり心配していましたが、ああ、怒り狂う今の鋼牙ならメシアでもレギュレイスでも、キバでも、カルマでも、片手でひねりつぶしそうです。もう、零くんたら、悪戯もほどほどにしなさいと、お尻をぺんぺんしたいです。ザルバの言うとおり、騒がしい一夜になりましたが、カオルさんにはきっちり、おしおき(調教ともいう)がくだされて・・・かわいそうなカオルさん(でもしっかり、書いてくださいませ。楽しみに待っております)ちなみに、マリヴのカクテル、近所のバーへ行きましたが、リキュール自体、置いていませんでした。
2012-07-03 Tue 00:34 | URL | シュール #-[ 内容変更] | top↑
Re: ああ、荒れ狂う鋼牙さん
鋼牙さんと零くんは一生 楽しくチャンバラゴッコをしてればいいと思います。
仕掛けるのは零くんからしか思い浮かばなかったのですが
たまには鋼牙さんからでも悪くないかな♪


マリヴ置いてませんでしたか?

私が思うに マリヴシリーズは居酒屋さんへGO♪ ですよ。
2012-07-05 Thu 11:06 | URL | hitori #-[ 内容変更] | top↑
 
 
 
 
 
 
  管理者だけに閲覧
 

| もうひとつの夜~GARO~ |
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